英会話はこうしてマスターする
自由が丘ランゲージスクール開校から40年余り、英語教授に日々携わり、多くの人たちの英会話やフランス語の進歩の過程を観察し、自分自身のかつての英会話やフランス語会話習得の経験を元に、英会話をマスターするための理論的に簡素で最高効率の方法を確信しました。
英語を話せないレベルから最短期間でマスターできる最速の方法を伝えます。
極めて日常的で単純な原理に従っていますが、英語が話せないレベルから英会話をマスターすることを志す多くの方々の役に立つ方法であると確信しています。
独学を主として英会話をマスターしたい人にも十分な手引書になります。
1.最初にスピーキング・コア(核)の形成を目指す。
英会話には、「話す能力」と「聞く能力」が必要ですが、先ず、「話す能力」の形成に主力を注ぎます。つまり、「話す」ことに力を注ぎます。なぜなら、自分が話すのと同様の内容の英文は、自ずと聞き取ることもできるようになるからです。
そのため、英語を「話す能力」の養成を先ず、進めます。それはつまり、<話す能力の芯>を形成することです。
形成された<話す能力の芯>を、私は「スピーキング・コア(核)」と呼びます。それは、目には見えませんが、形成されたときには内面に実在します。
スピーキング・コア形成の必須項目
このスピーキング・コアを形成するための必須の知識と方法は次の3項目です。1)先ず、「約1,200語以上の英語の単語」を覚えていることです。
通常、英語を「話す」(スピーキング)場合は英語を「聞く」(リスニング)あるいは「読む」(リーディング)場合よりも語彙は少ないのです。
それでも、豊かな会話をするためには3,000語以上あるいは、5,000語以上の英単語を覚えていることが望ましい。
2)その次に、中学から高校1年生までの「英文法の知識」です。
英文法の知識は英会話文を滑らかに言えるくらいよく覚えたときに、特に必要となります。覚えた英会話文の単語を頭の中で入れ替えて、さまざまな内容に変えるには文法の知識が必要だからです。
そして、最後の重要な方法は、
3)「声を出して英会話文を繰り返し言う」です。
英語を実際に話すことがこれに当たりますが、それだけでなく、英会話文の繰り返し音読練習が含まれます。音読の効果は多くの人が知っていることです。しかし、充分に理解している人は少ないのです。
音読においては声の大きさは普通で結構です。大きな声はそれだけの効果が期待できますが、喉がかれて何回も繰り返すことができなくなる恐れがあります。
以上の3項目で英語は話せるようになります。
最初の2項目の必要な語彙と文法の知識を既に持っている人は「声を出して英会話文を繰り返し言う」をしっかり実行するだけでスピーキング・コアが形成されます。
音読練習
「声を出して英会話文を繰り返し言う」ための練習の一つである音読練習について述べます。そのための具体的で効率的な方法は次のようになります。
(1)学習する会話のテキストを1冊、決める。
1冊でスピーキング・コア(話す能力の芯)を形成させます。
会話学校等で英会話を学ぶ人はそのコースで決められたテキストが良い。馴染んだテキストのほうが効果が高いのです。
テキストを自習で練習するのは各レッスンの英会話文(対話文)の部分に絞ることが必要です。
独学で学ぶ人は英会話が載っているテキストを一冊選ぶ。国内、外国どちらの出版本でもよい。そのテキストは次のようなものを選びましょう。
(a)会話文は日常使う実用的なものである。
(b)易しいレベル(入門、初級レベル)であることが大切です。なぜなら、スピーキング・コアを形成させるには、日常よく使われる、比較的易しい英文のほうがはるかに修得効率が高いからです。
(c)全部で400行~500行位の日常使う会話文(対話文)が必要です。
会話学校のテキストでも独学のテキストでも、ここで重要なことは、400行~500行位の限られた量の会話文に熟達することです。
一冊の英会話の本(テキスト)は通常それなりの体系的な文型のまとまりがあるのです。日常会話に必要な文型がまとめられているはずです。
スピーキング・コアを速く形成して英語が話せるようになるためには、膨大な英会話文の中に迷い込んではいけません。目標は文型に体系的なまとまりがある一定の限られた量の英会話文を暗唱できるくらい習熟することです。しかし、かなり音読練習をしてみて、テキストの英会話文が易しすぎて不十分だと感じた場合は、数十行単位で英会話文を増やしてもよいでしょう。ただし、行数を増やすのは慎重に行ってください。
(2)「声を出して英会話文を繰り返し言う」を開始する。
(a)スピーキングには正確な発音が必要です。
英会話学校等で学んでいる人は、先ず、先生の発音をしっかりまねてください。分かりにくい発音は先生に直接、訪ねてください。CDも有効です。
ただし、先生から直接指導されたほうが分かりやすいのです。
子供は先生の発音を何度か聞くと正確な発音ができるようになります。子供は発音の天才です。
大人の場合は先生やネイティブ・スピーカー(英語を母語としている人)の発音をよく聞くことに加えて、英和辞書や英文法の本等の発音の仕方の説明を読んで、舌の位置や口の開き具合を学び、正確な発音を身に着けるようにするのが望ましいのです。
本格的に英語を学びたい人は市販の英和辞典で使われている発音記号を学ぶことが必要です。
以前、大学の授業で英語の母音や子音の発音の仕方を教えたことがありました。驚いたことに、どのクラスでも皆、その場で正確な発音ができました。私が学生だった頃はもう少し練習が必要だったと思います。
最近は、音声機器の普及のせいもあってか、英語を聞く機会も多く英語に対する音感がよくなっているのだと思います。
そのため特別に発音の指導者に恵まれなくても、発音の仕方の説明をよく読み、先生をはじめネイティブ・スピーカーの発音を注意深く聞けば、充分に正確な発音を身に着けることは可能です。事実、英語においては多くの人たちがイントネーション(抑揚)も含めて充分に通用する発音をしています。
(b)英会話教室では、よく聞き、できるだけ多く英語を話す。それが、そのままスピーキング・コアの形成につながります。
さらに、教室外では、教室で使っているテキストを暗唱できるぐらい繰り返し音読すると進歩は飛躍的に速まります。初歩の段階から速く英会話力を進歩させたい人にはこの方法を強く勧めます。
英会話教室に通う人は、教室での実際の会話練習に加えて独りで音読練習もできる絶好の機会に恵まれています。教室での会話に加えて時間の許す限り音読練習をして大いなる進歩をしてください。
英語を話す職場で働く人も、英会話の良い環境に恵まれたことを利して、よく英語を聞き話すと同時に、一冊のテキストを音読して暗唱できるくらい熟達してください。そして、その英文を、職場で実際に使ってください。
上記の2つの場合は英会話の能力を速く形成するために極めて有効な方法です。
独学を主として学ぶ人は、声を出して会話文を何度も読むことが主となります。そして、覚えた英会話文を実際に使う機会を見つけてください。
くり返しますが、ここで、重要なことは、このスピーキング・コアを速やかに形成する段階では英会話のテキストの中で繰り返し読むのは会話文(対話文)に限ることです。
リーディングのテキストまで繰り返し音読の手を広げると集中する対象が広がりすぎてスピーキング・コアの形成がむしろ遅れます。会話文を暗唱できるぐらいまで習得することがこの段階では先決です。
そこまで、練習するのは大変だと思うかもしれませんが、英会話ができる人は、方法は異なっても、1人の例外もなくその量の英会話文は既に発声しているのです。
スピーキング・コアの形成なしで英語が話せる人は存在しません。
自習としての会話文の音読はほとんどせずに、英会話の教室だけで会話ができるようになる人もいますが、そういう人は教室で同じくらいの量の会話文を話しているのです。その場合はマスターするまでの期間が長くはなります。
英語が話せるまでに至っていない人は、ここで述べている項目を無視しているか、英単語あるいは文法の知識が少ないか、あるいは、単に練習量が足りないのが原因です。
基礎的な文法の知識(中学から高校1年生までに習う文法)が不足している人、あるいは忘れた人は英会話をマスターするためには、会話練習とともに基礎文法も学ぶか、あるいは復習する必要があります。
必要な語彙や文法の知識のある人は、もう一度ここで述べている注意点を読み直して、練習量を増やせば英語は確実に話せるようになります。
「練習すればできる」という原理は人間に与えられた尽きることのない才能によるものです。充分に評価されていません。信頼して大いに活用してください。
他の外国語会話でもマスターする方法は同様です。
独学を主として英会話をマスターしようとする人は、テキストの会話文の全部を暗唱できるか、それに近いくらい習得すれば、7割から8割ぐらいはスピーキング・コアの形成に成功したと言えます。やり残されたことは実際に英語で会話をするという経験です。実際の会話を通して学ぶ要素もあるからです。流ちょうに言えるくらい覚えた英会話文と、文法の知識を組み合わせて、実際に英文を話す必要があります。英語喫茶、外国人の友人をつくる、仕事で英語を使う、会話学校に短期間でも参加する、英語圏の国に行く等の方法を探しましょう。
(3)音読練習法と単語習得法の例
声を出して英会話文を音読する練習法の一例として次の方法を勧めます。
(a)レッスン1を会話文に慣れるまで何度も音読する。まだ、暗唱できなくてもよい。
(b)レッスン2に進む。レッスン3当たりまでに進んだ時、レッスン1をまた音読し始める。
(c)レッスン3を何度も音読してレッスン4へ進む、それから2回目に始めたほうも同様にレッスン1からレッスン2に進む。このようにして2か所の音読を輪唱のように続けて行く。
(d)最後のレッスンに至ったら、また、それぞれ、レッスン1から音読を繰り返す。
この輪唱のような音読法は少し忘れたころに次の音読が始まるので、脳への刺激のタイミングという点から効果が高いように思われます。
音読回数の目安
音読回数の目安は、流ちょうに全部の英会話文を暗唱できるか、ほぼそれに近いレベルまでです。
一日30分で週5日以上音読練習をすれば、数か月で基本的なスピーキング・コア形成の7割~8割のレベルに達するはずです。音読30分を一日2,3回に分けて練習するのも効果があります。
最後の2割~3割の形成には実際に会話をすることが望まれます。
より短期間での習熟を目指すなら1日の練習時間を増やし、毎日練習するとよいでしょう。英会話修得の志が強く時間がある人にはこれを推奨します。
逆に、急がないが進歩を期待する人は、1回に5分以上、週に3、4回以上の音読練習で継続すれば月日はかかりますが効果が期待できます。
スピーキング・コアを形成するかどうかが、英語が話せるかどうかの境目となります。
繰り返しますが、会話ができるようになった人達は、英会話教室で話しただけとか、英語圏の友達とよく話したとか、あるいは、英会話文を何度も音読したとか、方法はさまざまでも、例外なく、この量の「英会話文を声を出して言う」を済ませているのです。
最初に音読し始めたころは、流ちょうに音読するのも難しいと思いますが、間もなく流ちょうに読めるようになります。
独りで音読しているときは空しく感じる人もいるかもしれません。しかし、本当は、音読している一文、一文がスピーキング・コアの形成に寄与しているのです。そのことを意識して練習して下さい。
英会話文を読んでよく理解できると、充分習得したと勘違いする向きもありますが、英会話においてはその文を滑らかに暗唱ができて初めて習得が成ったと言えます。
英会話文を理解するだけでなくスポーツのように何度も練習することが、特に初期の段階では必要です。理解している会話文をアスリートのように何度も練習して滑らかに話せるようになることです。
スポーツの場合は大抵の人は練習の重要性を理解しているようですが、外国語会話の習得ではスポーツほど重要視している人は少ないのです。その認識が外国語会話習得の壁になっています。特にスピーキング・コアを形成する初期の段階ではスポーツ同様、練習が必要だということをよく認識して「繰り返し言う」や「繰り返し音読する」ことに励んで英語を短期間で話すようにしてください。
現在練習している会話文を時々、CD等で注意深く聞いてください。発音確認とリスニング練習となります。
CD等で会話文を聞きながら声を出して一文一文繰り返すのも練習時間は多少長くなりますが、有効な練習法です。
スピーキング・コアが形成されると読んだり聞いたりするだけで実際に使えるようになる英会話文も出てきます。
単語を習得する方法を一例として述べます。
(a) 単語はメモ用紙やノートなどに数回書きながら、同時に、発音しながら覚える。
書きながら覚えたほうが、脳に刺激を与え記憶しやすいと思われるからです。さらに、英語を話すだけでなく、楽に英語が書けるように単語のスペルを手に覚えさせるためです。
同時に単語を書きながら発音しながら(小声で大丈夫です)覚えます。
(b) 忘れることは恐れず単語を一度覚えてください。忘れたらまた覚えてください。この「繰り返し記憶法」でよく覚えるようになります。
上記の方法の他に単語帳を作成してよく覚える人もいます。自分に合った方法が一番良いのです。ただし、発音も同時に覚えたほうが能率的です。
(c) 英会話は日常の会話が大切ですが、高度な議論やスピーチも必要となります。さらに、英語は「話す」だけでなく「聞く、書く、読む」にも通じる必要があります。
そのため、単語は幾つ覚えても覚え過ぎるということはありません。初期の段階から積極的に単語を覚えるようにすることが望まれます。
2.英会話をマスターするために会話力を発展させる。
これまで述べた方法を実行することによりスピーキング・コアがあなたの内面に形成されます。あなたの努力によって。無から新たな能力が創造されるのです。
先に触れたように、スピーキング・コアが形成されると一度読んだり聞いたりするだけで、英文によっては直ぐに使えるようになります。英語に対する吸収力が増加しています。
形成されたスピーキング・コアと1,200語以上の英単語の知識と文法の知識があれば、簡単な日常会話、旅行会話ができるでしょう。
英語マスターのための根幹である「話す能力」の基盤が創られ、
3,000語以上の英単語の知識があれば初級修了のレベルに達しているといえます。
覚えている英単語の綴りが書ける人に会話力が付けば英文の手紙も書けるようになります。リーディングの能力も英会話ができるようになるだけでかなり進歩します。これは、英語がよく話せるようになった人が体験していることです。
「話す能力」は言語習得の根幹だからです。
(1)スピーキング・コアをさらに豊かに発展させて、英会話やビジネス英語、英語での議論等も自由に行えるようにするための簡単だが極めて有効な方法を一例として挙げます。
その方法は下記のとおりです。
「学んだ英文や折に触れて聞いた英文を、その時、覚えるつもりで数回声を出して繰り返す。」
声は大きくても、ささやくような小声でも構いません。これを日頃、そのつど実行してください。
これは高い効果が認められるテクニックです。
このテクニックの欠点は、内容があまりに当たり前のように思えて軽視されたり、効果が疑われたりして途切れてしまうという点です。しかし、複雑なものが簡単なものに優るという法則はありません。英会話の進歩の速い人は、意識的にしろ無意識的にしろ事実上、これを実行しています。
(2)もう一つの方法は、最初に使ったテキストよりも、やや複雑な文型を含む英会話文を最初と同様に音読練習するか、あるいはCD等で英会話文を聞いて声を出して反復練習し暗唱できるぐらい熟達することです。初回と同様一度に多くの量を練習対象にしないことが大切です。量よりも熟達優先です。なぜなら、このほうがスピーキング・コア(話す能力)の発展に有効だからです。
英語力を進歩させるために、ほかにも方法が見出されるかもしれませんが、もっと良い方法が見つかるまでは、ぜひ、持続的に実行して速やかに英会話をマスターしたといえる高いレベルに達して下さい。
(3)リスニングの能力を向上させる方法の例
(a)先に練習の項で述べたように、CD等で会話文を聞きながら声を出して一文一文繰り返すのもスピーキングだけでなくリスニングにも効果があります
(b)ビデオ、テレビ、映画などでリスニングの能力を養う。ニュースや外国のドラマを英語で聞く。ただし、ドラマに出てくる卑語は使わないようにしましょう。
私たちが求めるのは品のある英語を話すことです。
(4)英語力の維持
常に英語を使う環境にいる人は毎日が英語の練習になります。しかし、既に英語に通じている人でも、長い期間、英語を使わないでいるとその能力が衰えます。
その場合、英語の能力を維持するために会話文の他に、リーディングのテキストを音読するのは効果があります。CD等で英語を聞き、声を出してリピートするのも同様です。英会話に熟達した多くの人が使っている方法です。
(5)全てを支える意志
覚えている単語が豊かで、文法の知識も十分にあり、さらに英会話の習得方法よく知っていることの他に、それを支える必須の要素があります。
それは、英会話をマスターしようという意志です。
この意志があれば成功します。一時的にその意志が衰えることがあっても、再び、その意志を高めるようにしてください。
そして、自分が英会話をマスターした時の情景を思い描いてください。 楽しく英語を話しているところや英語でスピーチをしている場面など、好きな情景を、よく思い描いてください。それは、大いなる励みになり、あなたを成功へ導くでしょう。
意志とビジョンと有効な学習法があれば、あなたは既に成功したのと同じです。それ以外の結果はありません。
スピーキング・コアを基に、語彙を広げ、必要な文法をさらに学び、よく英語を話し、聞き、読み,書き、教養あるネイティブ・スピーカーに伍するよう英語力を高め、豊かに活動してください。
2020年2月19日
自由が丘ランゲージスクール
校長 太田嘉明
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